ユーロ危機:複合的危機と複雑な解決策
No. 7 2012年1月
内容
ユーロ危機:複合的危機と複雑な解決策
Paola Subacchi ・Stephen Pickford
欧州のソブリン債務危機は欧州経済通貨連盟(EMU)のガバナンスの欠陥を露呈し、政策協力の限界を示し。 とりわけユ-ロ危機は経済通貨連盟の政治的基礎と欧州のさらなる統合を脅かしている。 本論文はユーロ圏、特に欧州周辺国の見通しを論じ、脆弱性とストレス・ポイントを分析している。 現在の危機は2007-2008年の世界金融危機に端を発しており、 一部加盟国の構造問題とEMUのフレームワークの欠陥が組み合わさっていると主張する。 ユーロ圏の一部諸国の短期的課題は、銀行に市場での資金調達を可能にすること、 市場参加者に公的債務が持続可能な状態であると確信させること、 そして対外収支の状況を改善すること、であることを明らかにしている。 長期的な課題は競争力の改善、成長の回復、EMU内での成長パターンのリバランスであ。 本論文は、必要な構造的措置がとられなかった場合にユーロが生き残る可能性について結論を下している。
Subacchiはチャタムハウスの国際経済プログラム部門のリサーチ・ダイレクターである。
Pickfordは英国財務省の前マネージング・ダイレクターであり、 現在はチャタムハウスの国際経済プログラム部門アソシエート・フェローである。