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マクロ経済

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論文
出版
 

金融危機後の米国、中国、日本の経済の展望とチャレンジ

No.5 2010年2月

詳細はPDF(英語)をご覧下さい

内容

米国の対外赤字:ソフトランディングは可能か

本稿では、不況から脱出した後の米国の対外収支の状況を考察する。著者は、貯蓄と投資のバランスという国内的な観点と輸出入の決定要因と為替レートという対外的な観点の両面から問題を検討する。著者は、米国の輸出競争力を改善するためのドルの持続的な切り下げの必要性を強調し、現在の実質為替レートは米国の貿易赤字の大幅な削減の状況と一致していると主張する。好調な対外的な状況は、しかし、個人貯蓄率の低さと、景気循環的な低調な投資率に見合う公共部門の大幅な財政赤字とは整合性がとれない。投資の回復は経常収支の赤字の拡大を伴うものと考えられる。

IMFは出資に価するか?

吕 刚 国務院発展研究センター(中)


呂氏の論文は、中国が世界経済・金融危機に対応するために取った政策が、国内需要中心の経済への長期的な移行を妨げる、または否定するという懸念について考察している。呂氏は国内需要の拡大が目標であることに変わりは無く、危機対応のための支出は移行を促進すると主張する。しかしながら、国民一人当たり所得や、産業化、都市化の状況からすると、中国は今後3~5年のうちに移行を完了することはないと考えられる。経済危機にあっても、経済成長の新たな基盤を築く計画の一部として、対外投資を促進し続けると思われる。

高齢化社会を迎えた日本の女性労働力の活用

桑原 真樹 経済調査部 野村證券(日)


日本の女性の労働参加率が低いことは良く知られている。2008年には300万人以上の日本女性が就労を希望しているものの、実際には労働市場に参加していないと報じられた。日本が高齢化社会を迎える中で、桑原氏はこの潜在的な女性労働力を労働力不足に対する対策のひとつとして検証する。十分なデイケア・サービスの提供を重視する政策によって、女性は働きながら、家族のケアも確保することができる。出生率、労働力参加、デイケアの需要と供給のデータを検証することにより、本論文は予想外な傾向について説明している。この傾向の背景は必ずしも明確ではないものの、日本の女性はより経済に貢献する方向に変化してきている。この傾向をサポートする政策が必要である。

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