• 文字サイズ
  • 小
  • 中
  • 大
HOME > マクロ経済 > 国際金融制度の改革:システム,地域,ガバナンス

マクロ経済

研究会議
論文
出版
 

国際金融制度の改革:システム,地域,ガバナンス

No.4 2009年2月

詳細はPDF(英語)をご覧下さい

内容

国際金融制度の改革:新興市場からの見方

BARRY EICHENGREEN


Eichengreen氏は、議論の前提として、1997-98年に起きたアジア通貨危機への対応や、一部の国における予想を超えた経常収支の急増に着目している。これを踏まえて、彼は今回の危機で露呈された制度面の問題を考察している。さらに、Eichengreen氏は国際金融体制改革の焦点となる透明性や監督、ガバナンスといった未解決の課題を整理している。彼は、国際通貨体制を議論するために新しいブレットン・ウッズ会議を開催することには賛成するが、固定相場制に復帰することには否定的である。

IMFは出資に価するか?

EDWIN M. TRUMAN


Truman氏は最も重要な国際金融機関のひとつであるIMFに焦点を当てている。彼は、米国議会で検討されたIMF改革案を評価することを通じて、IMF改革の進展と、今回の危機においてIMFが果たしている役割を考察する。改革案に含まれた増資は、世界経済の成長を促進し、金融安定を維持するためには不可欠である。Truman氏は、「IMFは出資に値するか」という論文のタイトルにある設問に対してYesと答えているが、議会がこの改革案を批准すべきかどうかについては躊躇している。直ちに原案通り議決しなければならないなら、反対はしないが、2010年まで待てるならば、進行中の国際金融体制改革を巡る議論がIMFのガバナンスの改善につながるかどうかを見極めた上、決めたほうがより望ましいと述べている。

IMFと東アジアにおける協調の将来像

YUNG CHUL PARK & CHARLES WYPLOSZ


Park氏とWyplosz氏は、今後の国際金融体制改革において、地域のレベルの金融協力機関がIMFとともに果たすべき役割があるかどうか、また、どういう形でこれらの役割を果たすべきかについて検討している。中でも、10年前のアジア通貨危機以降に実施された金融協力の現状と課題が分析の焦点となる。両氏によると、チェンマイ合意による2国間のスワップ取極とそれに取って代わろうとする外貨準備プール方式は、流動性へのアクセスを保証することを通じて、アジアの加盟各国が世界経済を不安定化させる原因である輸出主導・外貨準備累積型成長に戻ることを防ぐのに役に立つという。

ページトップへ戻る